役員報酬と社会保険料のシミュレーションで最適な報酬額を見つける方法
- 役員も原則として健康保険・厚生年金保険の加入対象になる。
- 社会保険料は毎月の報酬そのものではなく「標準報酬月額」という等級で計算する。
- 厚生年金保険料率は18.3%で固定、労使折半で本人負担は9.15%。
- 健康保険料率は都道府県・保険者ごとに違い、毎年見直される。
- 40歳以上65歳未満は介護保険料が健康保険料に上乗せされる。
役員報酬 社会保険料 シミュレーションの結論

役員報酬の社会保険料シミュレーションとは、設定する役員報酬の額から、毎月かかる健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料を事前に試算する作業です。
私が税理士事務所で法人設立を担当していた頃、社長から一番多かった質問が「報酬はいくらにすればいいのか」でした。所得税や住民税ばかり気にする方が多いのですが、正直、効いてくるのは社会保険料の方です。
なぜなら社会保険料は会社負担分と本人負担分の合計で、報酬額のおよそ3割前後にもなるから。役員報酬を月50万円にするか45万円にするかで、年間の保険料は数十万円単位で動きます。
しかも社会保険料は「標準報酬月額」という等級表に当てはめて決まる仕組みなので、額面を少し下げると等級が一段落ちて保険料がガクッと減る境目が存在します。ここを狙うのがシミュレーションの肝です。
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このサイトでは、役員報酬と社会保険料の関係を数字で確かめながら、自分の会社に合った報酬額を探せるように情報を整理しています。

私自身、個人事業主から合同会社に切り替えたとき、報酬設計でかなり悩みました。手取りを最大化したいのに、社会保険料の計算が複雑で見通しが立たない。だからこそ「実際いくら引かれるか」を起点にした記事をここに置いています。
前提として、法人の役員は原則として健康保険・厚生年金保険の被保険者になります。従業員と同じ扱いです。
経営情報
役員報酬の決め方は、社会保険料だけでなく法人税・所得税の全体最適で考える必要があります。
報酬を上げれば会社の損金は増えて法人税は減りますが、その分、本人の所得税・住民税と社会保険料は増えます。逆に報酬を下げれば社会保険料は減るものの、会社に利益が残って法人税がかかる。綱引きです。
私が現場で見てきた肌感では、社会保険料の「料率の重さ」を侮ると痛い目に遭います。厚生年金だけで18.3%、健康保険を合わせると都道府県によっては合計で報酬の3割近くになるからです。
サービス案内

このページで提供しているのは、役員報酬の額から社会保険料を試算するための考え方と、計算に使う料率・ルールの整理です。
社会保険料の計算に必要な要素は、ざっくり次の通り。
- 厚生年金保険料は標準報酬月額に18.3%を掛け、労使で折半する。
- 健康保険料は都道府県・保険者ごとの料率を標準報酬月額に掛け、折半する。
- 介護保険料は40歳以上65歳未満の人だけ、健康保険料に上乗せされる。
- 子ども・子育て拠出金は事業主のみが0.36%を負担する。
このうち子ども・子育て拠出金は本人負担ゼロ。会社だけが払うので、手取り計算では気にしなくてよいのに、会社の固定費としては地味に効いてきます。
料金案内
この記事の情報自体は無料で、シミュレーションの考え方も無料で確認できます。

よく聞かれるのが「シミュレーションにお金はかかるのか」という点。無料で公開されている計算ツールは複数あります。費用が発生するのは、税理士や社労士に個別の最適化を依頼するケースです。
正直に言うと、報酬月額が一定以上で賞与も絡む会社なら、専門家に有料で見てもらう価値は十分あります。等級の境目を一つ動かすだけで年間の差が見合うからです。
事務所案内
この記事を書いているのは、税理士事務所で12年実務に携わり、法人設立・決算申告を年間50件以上担当してきた私です。
建前の制度解説ではなく、「実際に手取りがいくら残るか」にこだわって書いています。自分が合同会社を作って報酬を決めたときの試行錯誤も、この記事の根っこにあります。
だから数値は必ず公式の一次情報で裏を取ります。保険料率や上限は毎年のように変わるので、古い数字を信じて報酬を決めると損をします。
お問い合せ

個別の最適報酬額は会社ごとに違うため、最終判断は税理士・社労士への相談をおすすめします。
ここで一つ注意。ネット上の試算と、実際の納付額が合わないという相談をよく受けます。原因のほとんどは「料率の年度違い」か「介護保険料の有無の見落とし」です。
40歳の誕生日を境に介護保険料が上乗せされるので、年の途中で保険料が変わる役員もいます。試算するときは年齢も必ず入力してください。
入力上の留意点
シミュレーションの精度は、入力する前提条件の正確さで決まります。

特に外しやすいのが「いつの料率を使うか」。健康保険料率は協会けんぽでも年度ごとに見直され、都道府県によって違います。東京と他県では同じ報酬でも保険料が変わります。
標準報酬月額は、原則として4月・5月・6月の3か月の報酬平均で決まる定時決定で見直されます。新しい標準報酬月額が適用されるのは、通常その年の9月からです。
1. 本人情報
本人情報で社会保険料に直結するのは「年齢」と「役員報酬の月額」の二つです。
年齢が効くのは介護保険です。40歳以上65歳未満は介護保険第2号被保険者となり、健康保険料に介護保険料が上乗せされます。39歳と40歳では同じ報酬でも保険料が変わるわけです。
報酬月額は、額面で入力したうえで標準報酬月額の等級に直して計算します。ここで等級表の境目を意識すると、報酬をわずかに下げて等級を一段落とす設計ができます。
| 入力項目 | 保険料への影響 | 注意点 |
|---|---|---|
| 年齢(40歳以上65歳未満か) | 介護保険料の上乗せ有無が変わる | 年の途中で40歳になると途中から上乗せ |
| 役員報酬の月額 | 標準報酬月額の等級が決まる | 額面ではなく等級に直して計算 |
| 賞与の有無・金額 | 標準賞与額に対しても保険料がかかる | 月額報酬と賞与は別計算 |
2. 家族情報

家族を扶養に入れても、役員本人の社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)は増えません。
ここは誤解が多いところ。健康保険には扶養という仕組みがあり、配偶者や子を扶養に入れても保険料は本人の標準報酬月額だけで決まります。人数で増えるわけではないのです。
私が相談を受けたとき、「家族が増えたら社会保険料も上がりますよね」と聞かれて、上がりませんよと答えると驚かれることがよくありました。負担が増えるのは所得税の扶養控除や、扶養から外れたときの話です。
つまり社会保険料のシミュレーションでは、家族情報は本人の保険料額そのものには影響しません。手取りの全体像を見るときに所得税側で効いてくる、という整理になります。
3. 会社情報
会社情報で押さえるべきは、所在地の都道府県と、会社が負担する保険料です。

健康保険料率は協会けんぽでも都道府県ごとに違うため、本社や事業所がどの都道府県かで保険料が変わります。東京の料率を使って試算したのに、別の県だった、というズレはここから生まれます。
会社負担分も忘れずに。厚生年金は18.3%を労使折半なので会社も9.15%を負担し、健康保険料も折半します。さらに子ども・子育て拠出金0.36%は会社だけの負担です。
| 保険の種類 | 料率 | 本人負担 | 会社負担 |
|---|---|---|---|
| 厚生年金保険 | 18.3%(固定) | 9.15% | 9.15% |
| 健康保険 | 都道府県・保険者ごと | 折半 | 折半 |
| 介護保険(40〜64歳) | 協会けんぽが年度ごと公表 | 折半 | 折半 |
| 子ども・子育て拠出金 | 0.36% | なし | 0.36% |
よくある質問
役員報酬の社会保険料シミュレーションについて、相談現場でよく出る質問をまとめます。
よくある質問
最後に一つだけ。報酬設計は「節税」だけで決めないでください。厚生年金は将来の年金額に直結するので、報酬を下げすぎると目先は得でも老後の受給が減ります。私は、社会保険料の試算と老後の受給見込みを両方並べて決めることをすすめています。
